カテゴリ:因州箋だより( 69 )

柳宗悦展から思うこと

今、鳥取県立博物館「柳宗悦展 ―暮らしの眼差し―」(4月7日~5月20日)が開催されています。
その関係もあって当社は柳先生に関する取材をいろいろな所から受けました。
これも柳先生とのご縁をいただいた事なのでしょう。
そのご縁についてお話をしたいと思います。

昭和24年7月「妙好人因幡の源左」の調査で柳先生が当地青谷町山根の願正寺に滞在された頃の話です。

当時、紙漉きをしていた塩義郎(大因州製紙創業者)は23歳、
和紙の将来に対してこのまま続けるべきか迷っていました。
そんな時、願正寺で柳先生に出逢って何か惹かれるものを感じ、
何度もお話を聞きに行きました。

ある日、焼いたとうもろこしをキズや黒皮の入った和紙に包んで持って行った所、
柳先生はその紙を広げ、愛しむ様に撫でながら「味が深いねえ。美しいねえ」と言われました。
紙は商品にならない和紙でした。が、その紙を褒められたのです。
その頃は、和紙は高いか安いか・強いか弱いか・白いか黒いかそんな事しか言われなかった時代だったので、
柳先生の言葉に非常に驚き、衝撃を受けたらしいです。
また柳先生はこうも言われたそうです。
「和紙は世界の産業になるよ」と。それは若い塩義郎の心に響く言葉でした。

柳先生のさまざまな話から物の美しさや物の価値を教わり、
和紙づくりに対しての確固とした気持ちが出来たといいます。
また柳先生との繋がりで鳥取の吉田璋也先生や型絵染の芹沢銈介先生にも育てていただきました。

昭和31年には、『美しい和紙を安くもっと多くの人に』の願いから
中国地方で初めて機械を取り入れた和紙の製造に踏み切りました。
「和紙の原料の楮、三椏、雁皮は紙になるために生まれてきたんだから、
その材料の働きにすがって和紙を作っていけばいいんだよ。
すべては楮のはからい」とよく言っていました。
今は私達がその仕事を引き継いでいます。

人と人との出会いは不思議なものです。
柳先生との出会いがなければ今の大因州製紙は生まれなかったかもしれません。


鳥取県立博物館 「柳宗悦展 ―暮らしの眼差しー」
【会  期】 2012年4月7日(土)~5月20日(日)※5月1日(火)のみ一部展示替えのため休館
【開館時間】 午前9時~午後5時(土・日・祝日は午後7時まで) ※入館は閉館の30分前まで



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by ak-shio | 2012-04-19 14:17 | 因州箋だより

あたたかな風

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
お元気でしたか?


今日はあまりにいい天気だったので、鳥取工場の周りを歩いてみました。
ここはいわゆる工業区域に属するのですが、
キジが鳴いたり、イタチもいたりと、ワイルドな場所です。


南からの風でしょうか。
小判草が群れになって風に揺れている音が聞こえてきます。


よく見ると小判草って、小さなものから大きなものまで、
結構色いろな大きさで一緒に生えているんですね。
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和紙資料館からは、インドの民画が紹介されています(4月30日付)。
どうぞこちらもあわせてご覧ご覧下さい。

f0157387_12484128.jpgインドの民画


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by ak-shio | 2009-05-14 11:45 | 因州箋だより

館庭の枝垂れ桜が咲きました

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山根和紙資料館の前庭の枝垂れ桜が、今年も満開を迎えました(4月10日の写真)。
この枝垂れ桜がこの場所に植えられた当時は、樹齢10年ほどの小さな小さな桜の木だったそうです。
どうもそのやせ細って元気のない様子に、この木は諦めたほうがいいのでは、という声もあったようです。
が、肥料をやるなど世話を尽くした結果、こんな見事な花を見せてくれるようになりました。


春になると桜が咲く。


ついつい、見たり楽しんだりする立場からだと当たり前に受け止めてしまいがち。
でも日本全国多くの素晴らしい桜、桜並木があるのは、これを大切に守っている人たちの存在があってこそでもあるのだなと思います。


今日は雨模様。週末も暖かかったので、花びらも散り始めていることでしょう。
そして葉桜の季節を向かえ、夏には涼しい木陰をつくってくれるはず・・・


季節ごとに変化するこの庭も、和紙資料館のもうひとつの魅力ではないでしょうか。
お出かけにも最高の季節にもなりました。
どうぞ皆さまお誘いあわせお越し下さい。
お待ちしております。


山根和紙資料館は事前予約が必要な資料館です。
ご来館ご希望の際は、電話0857-(86)-0011(代)までお問合せ下さい。
なお土日祝日ならびに不定の休館日もございますので、あらかじめご了承戴きますようお願い致します。

山根和紙資料館について
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私のお気に入り桜ショット&お花見スポット♪


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by ak-shio | 2009-04-15 14:00 | 因州箋だより

桃の節句です

節分から早いもので、お雛様の季節がやってきました。
まだまだ5度以下になる寒い日もありますが、少しずつ空気が和らいでくるのを感じるようになりました。
県内、梅の花も見ごろを迎えているようですね。


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さて、今日は折り紙のお雛飾りを作ってみました(オールアバウトのサイトを参考→詳しくはコチラ)。
材料は、ちぎり絵セットから和紙2種類を使っています。


作ったのはお雛様とお内裏様だけですが、かわいいと私の周りではなかなか好評みたいです。
ちょっと顔がつくった本人に似ている、というご意見も…
撮影後は、私のパソコンのモニター上に二人の指定席を設けました。


鳥取では旧暦でお祝いするお家も多いとのこと。
3月29日日曜日には、用瀬地区で伝統の流し雛が開催されるそうです。
こちらも一度は参加してみたいお祭りなのです。
ここで使われるお雛様も本当に可愛らしい…


とにかく、暖かい春が来るというだけで、気持ちがワクワクしてきます。









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by ak-shio | 2009-03-02 15:00 | 因州箋だより

山根の様子

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おはようございます。
今朝の鳥取市内の道路は、昨日解けた雪が凍結しボコボコになっていました。
そして夕方から再び雪模様のようです。

写真は、昨日の青谷町山根の様子です。

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by ak-shio | 2009-01-14 09:10 | 因州箋だより

大雪警報出ました

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みなさん、こんにちは。
日本全国、雪模様の天気となっています。(撮影:大因州鳥取工場周辺)


私たちの住む鳥取も朝、目が覚めると雪景色となっていました。
鳥取市内はまだ10センチも積もっていませんが、本社のある山根など山間部では30センチほどの雪が既に積もっているとか・・・


f0157387_13235748.jpg大因州の本社工場と鳥取工場の間を走っているトラックのうえには、その証拠といわんばかりに雪の塊が乗っかっていました。
およそ20キロの山あり谷ありの道のりを耐え抜いた精鋭たちです。

大雪警報も発令されたようで、しばらく雪が続きそうです。
私もレッグウォーマーとアームウォーマを付けて、寒さ対策には気を遣っています。


全国の皆さん、どうぞ温かくしてこの連休を楽しく過ごされますように。
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by ak-shio | 2009-01-10 12:10 | 因州箋だより

若菜摘 わかなつみ

新年最初のブログとなります。
このブログともども本年もよろしくお願い申し上げます。
今年もみなさんにとって健やかな一年でありますようお祈りしております。



さて昨日、近所のスーパーで七種(ななくさ)のひとつ芹を一束、買いました。


隣のコーナーには七種セットも売られており、パックの中に様々な形の
葉っぱや小さめの蕪や大根が詰められています。
若菜独特のミニチュア的な可愛らしさに一瞬手が伸びましたが、
結構ボリュームもあるので、今回は断念・・・


子供のころ、近所の田んぼに芹が生えいて、母に頼まれて摘みに行ったことを思い出しながら、そして明日の夕飯に七種粥を楽しみにしながら、スーパーをあとにしました。


そして今日、歳時記を開くと、

    厳密には、おなじみの歌にあるように、


      芹(せり)
      薺(なずな)
      五行(ごぎょう)
      繁縷(はこべら)
      仏の座(ほとけのざ)
      菘(すずな・蕪菜のこと)
      蘿蔔(すずしろ・大根のこと)


   という七種類の料(しろ)を七種と呼び、12種の若菜を入れる例もある


らしく、リッチなお粥だなとため息。さらに解説を読み進めると、


   六日の夜または七日の早暁に、

      「七種なずな唐土の鳥が日本の土地に渡らぬさきに七草なずな」

   というお囃子に合わせて、まな板の上で若菜を叩いておき、
   翌朝の朝粥に入れていただく。

と、ある。
時すでに遅し。
七種粥を夕飯にと考えていた私は、完全にアウトです。
これに似た含羞を表現した歌、


      「はづかしき 朝寝の薺 はやしけり      高橋淡路女」


という歌が、手元の説明の最後に紹介されていました。
うっかり寝過ごしてしまった正月早々の朝寝坊の恥ずかしさと、その結果に遅い薺打ちの音が近所に響き渡る恥ずかしさを歌ったものなのだそう。


この季節ならではの生活の趣を感じる歌ですね。


f0157387_11103697.jpg少しタイミングは違ったものの、ともあれ今晩は芹の緑がお粥には映えること間違いなし。
正月で多少ふくらんだ胃袋を癒しましょう。




私の年末年始&ブログで一年のご挨拶!
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by ak-shio | 2009-01-07 12:40 | 因州箋だより

ご機嫌いかが、お月様?

スマイリングムーン、鳥取の空からも見えましたね。

12月1日の夜は、月そのものがとても綺麗だった夜で、ふと視線を広げると
夜空にピースマークのように金星、木星が輝いていたのでした。


かわいいなぁ・・・


と、何気なく見ていたのです。
しかし、後に2年半に一度の現象と知り、もう一頑張りして写真を撮っておけば良かったと後悔したのでした。

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さて翌日。
夕闇に消えていく山の稜線の影に月が見えてきました。
すると、その近くに二つの星が輝いているのが見えたのです。

でも、あれ。
なんか今日は怒ってる?
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どうやら今夜は少しだけアンハッピーなようです。

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by ak-shio | 2008-12-02 22:00 | 因州箋だより

来鳥手帖を手に入れる

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福田里香さんと束松陽子さんの共著、『来鳥手帖』を鳥取たくみ工藝店で見つけました。

「どうしてこんなところにあるの~」

書店で問い合わせても取り寄せ不可能、と言われ、すっかり諦めていたので、
早速買い求めました。嬉しい。

たくみさんでは、今回10冊ほどの『来鳥手帖』がやってきたということです。
前々からほしかった方は是非是非、お早めにお出かけ下さいね。


この本の表紙になっている印花布。
おそらく日本読みでは「いんかふ」と読むのでしょうが、
「いんほあぱん」と中国では読まれるそう。
中国の古い布です。


この布を日本に紹介したのは吉田璋也さんです。
当時は、第二次世界大戦の戦時下でした。

戦争の重たい時代の空気のなか、美しさとか人の暮らしとかいったことに視線を向けられた人はどれほどもいなかったと想像されます。それが軍の派遣先の外国ならばなおのこと。
日本に伝えられた印花布は、その一部が福田さんのご両親のもとにやってまいりました。

そして数十年後、新たな印花布のストーリが始まります。
この布を使ったトーとバックをつくろうと福田さんが「みつばちトート」の束松さんに声かけ、そのことから鳥取行きの旅が決まりました。
いわば、お里帰りのような旅ですね。


最初は島根も鳥取も一緒になっているほど遠かった鳥取とお二人は本に記されています。
でも、

「この道、何度か通ったけれど、こんなお店あったかな~」


『来鳥手帖』には、鳥取に住んでいる私たちが知らないようなお店まで載っています。
この手帖を手に取って鳥取に遊びい来た方も結構いるようです。
こうして、鳥取県内外に鳥取を愛してくれる人が増えてくれると、本当にありがたいことですね。



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by ak-shio | 2008-11-11 10:30 | 因州箋だより

鳥取の家具を訪ねて ~美の人脈

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鳥取の家具、と聞いてイメージが沸いてこない。
でも、上のランプスタンドはどこかで見たことあるよ、という方もあるのではないでしょうか。


少し時代を遡れば、小津安二郎監督の映画作品。
「私は小道具や意匠にうるさいといわれる。」と監督自らおっしゃるように、カメラの目はごまかせないと、作風とシーンにマッチした小道具が選ばれていました。

また最近では、NHK朝の連続ドラマ小説『ちりとてちん』。
渡瀬恒彦さんが演じるお師匠さんの部屋にそっと置かれていたんです。


古来式の燭台をヒントした電気スタンドを考案したのは、吉田璋也さん(1898~1972)。
彼は製図を基に小谷さんには台座、寅尾さんには笠の部分と、二人の職人に依頼し、このスタンドを作りました。昭和7年のことです。

それから約80年建った現在でも、鳥取で電気スタンドをつくっている工房、鳥取民芸木工の福田さんという方がいます。鳥取のたくみ工藝店と東京・西銀座のたくみで取り扱いをしているので、気になる方は是非お近くのたくみへお問合せ下さい。


とはいっても、昔から電気スタンドだけを作っていたわけではないんですよ。
じつは、鳥取の家具はテーブル、椅子、キャビネット、箪笥などがあります。
民芸家具、というと古民家においてあるような古めかしい家具を想像してしまいますが、
鳥取民芸家具といった場合、少し事情が違います。

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旧吉田医院にて

吉田璋也さんがもっとも大切にしていた蔵書のひとつに、昭和4年にアメリカで発行された『パインファニチャー』という一冊があります。
18世紀ごろの米国東部ニューイングランド地方の家具、特にシェーカー家具の写真を多く掲載している本で、後半にはイラストつきで寸法まで詳細に示された本でした。

シェーカー家具というのは決して華美な家具ではありません。
むしろ簡素であり、使い手が造ったかのような、普遍的な美しさをもった、そんなところが今でも人気の理由でしょうか。

このパインファニチャーを基礎とし、洋風化した日本人のライフスタイルにあうよう調和する家具を造ろうという試みが鳥取で始まったのが、昭和の初期のことでした。


f0157387_17105535.jpgこうした家具たちに強い影響を受けながら、鳥取でひとつの美意識が育っていったのです。

璋也さんが好きだった「木瓜(もっこう)面」または「隅入り角」という四角の四隅を外から内に折りいれたデザインがあります。(鳥取たくみ割烹店看板)


これは、鳥取民芸家具の特徴であり、今でも看板やパンフレットなどにもその形を取り入れたものを多く見つけることができます。清潔を保つために塗られた拭き漆は、木目を活かしたあめ色です。この色のファンも多いのではないでしょうか?



樗谿神社の参道沿いに建つ『やまびこ館』での特別展示『美の人脈~文化をつなぐ人々』は今月24日までです。
鳥取の民芸家具の始まりを知る資料のほか、当時交わされた書簡や、ににぐりネクタイなども展示されています。


是非、足を運んでみてください。
参道の紅葉も今が見ごろです。

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by ak-shio | 2008-11-08 15:40 | 因州箋だより

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