カテゴリ:いろは人訪記( 7 )

夕方トーク「ものづくりの話」

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工作社の本間公(ほんまあきら)さんが、一人で聞くのがもったいない、と企画した“アニキ達”、中原慎一郎さんと服部滋樹さんをお迎えしてのトークイベントに行って参りました。

気さくな雰囲気は大切にしながら、基本は真剣。
批判するでも批評するでもなく、実体験から出てくる言葉は、日ごろ胸の奥に仕舞いがちな疑問やもどかしさの種にもつながるりそうなエピソードの数々でした。
こうした話には、話し手が意図しないうちに、聞く側は勇気づけられていく気がします。


これが本間さんがメッセージした「一人で聞くのはもったいない」の理由のひとつなのかな。
トーク中にいろんな顔をのぞかせた、鳥取のアニキを思いながら会場を後にしました。


『トットリノススメ』は、12月7日まで続きます。
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『トットリノススメ』はじまります
“nomadic”期間限定shopにいってきました


トットリノススメ公式ウェブサイトはこちらからご覧下さい。


大因州のウェブサイト http://www.daiinshu.co.jp
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by ak-shio | 2008-11-03 20:20 | いろは人訪記

和紙を絞る

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和紙に色や模様をつける方法のひとつ、絞り技法。

今回のいろは人訪記では、大因州の和紙を長年絞ってきた
秋吉さんのおばあさんを訪ねました。

「綺麗に折りたたまれた傘をイメージして巻く」
という秋吉さんの言葉どおり、均等にひだを寄せて絞っていく技法は、
一般的に傘巻き絞りまたは、巻き上げ絞りと呼ばれるもの。

ただ布を絞るのとは異なり、あまり強い力で扱うと和紙を傷めます。
また空気が乾燥しすぎても紙がかたくなり、しなやかな絞りをすることが
難しくなるそうです。

まさに、「紙の状態と相談しながら、作業をする」仕事です。
地道ですが、集中力も必要な作業なので、家庭や農作業の仕事の合間あいまに
天気や体調などと相談しながら、作業を進めるそうです。


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私が写真を数枚撮っている間に、どんどん絞られた和紙が秋吉さんの
背後に積み重なっていきました。
皺によって空気を含んで、体積が大きくなった和紙の積層は
見方によってはアート作品です。

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「絞りの柄など具合が悪いところがあったら、すぐに教えて」と、秋吉さんは言います。
自分の仕事が本当に役に立っているのか、推し量るその姿勢は、
何か今も昔もかわらない、大切にしなければならない仕事の流儀だと思います。


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私たちの地元には、このような和紙の絞り作業をされている女性がいます。
絞り作業を終えた和紙は、大因州の工場(こうば)で、
染め、乾燥、ほどき、アイロンかけなどの工程をへて一枚の染め和紙が完成します。





f0157387_1371189.jpgこの染め和紙を用いたものに、
和紙バインダーがあります。
もちろんそれを仕立てる作業も
ひとつひとつ丁寧に手づくりです。

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by ak-shio | 2008-07-18 10:00 | いろは人訪記

簀を編む人 -  小畑文子さん (その1)

はじめに

和紙を透かすと現われる美しい簀(す)の目。
それは、ひとつとして同じものがありません。
用途に合わせた籤(ひご)、網目となる糸、
そしてその編み具合によって生まれる、
美しい簀の模様も和紙の魅力のひとつ。
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(写真:流水に晒し簀を洗う) 

しかし、簀はその美しさのためだけでなく、
激しい動きを伴う作業に耐えうる強さ、しなやかさ、
そして簀を入れる桁(けた)との相性など、
高い性能も求められる和紙用具でもあります。
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使い手のため、そして求める和紙の種類など
様々な要素を加味し、ひとつの簀をつくる。
それは、仕事への愛情はもちろん、的確であること、
そしてなにより根気が必要な仕事でした。
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 人を訪ねて 2007年霜月 小春日和

和紙に欠かせない道具の一つ、簀編みの仕事をされている
小畑文子さんを訪ね、鳥取県鹿野町の温泉街から程近い
小畑工務店の事務所の2階を訪れました。

全国的に簀を編む職人をはじめ、和紙づくりに欠かせない
道具をつくる職人は減少傾向にあり、
この鳥取県内でも小畑さんが唯一の簀編みの職人です。

穏やかな小春日和。
工房の入り口である事務所の玄関に穏やかな笑顔の
小畑文子さんがそこにいました。


 受け継がれる道具

早速案内された文子さんの工房には、80年以上使い込まれた編み機を中心に、
極めて細くすごかれた真竹の籤の束がその傍らに置いてあります。
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(写真:説明しながら作業を進める小畑さん)

編み機にかかった、糸巻き用の鉛の錘(おもり)や糸巻き機も文子さんのお父さんが遺した
思い入れの深い小畑家独自の用具です。

とにかく、この工房にあるほとんどが小畑家でつくられたもの。

簀に使う糸の長さを計る独自のスケールも、
一見するとただの木の板に釘が打ってあるだけですが、世界にひとつだけの大切な道具なのです。
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(写真:釘を打った板で必要な分の糸を測る)


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by ak-shio | 2007-12-28 10:50 | いろは人訪記

簀を編む人 -  小畑文子さん (その2)

いろは人訪記 簀を編む人は、12月28日から日を遡ってシリーズで表示しています。


 簀の設計

簀を編む作業は、まず出来上がりの簀の寸法を出す、
設計に始まります。
簀の大きさは、枠となる桁(けた)の大きさ、
そして木桟、金桟の位置によって竹籤を接いだり、
網目を通したりする場所を決めていきます。

新しく桁をつくる場合は、たとえ手元に桁の設計図があっても、
出来上がりの実物を採寸するまで、設計はできません。
桁を8等分に分ける7本の木桟が、完全な均等割付では
ないことも結果としてあるからだとおっしゃいます。

採寸には尺貫法が現役、設計作業はとくに慎重に。
的確な判断と正確さ、なにより経験がものをいう工程です。
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(写真:巻尺の単位は寸 簀はオーダーメードで作られる)

ここで気をつけることは、木桟や金桟と簀の網目、
竹籤を接ぐ位置が重ならないようにすることです。

竹籤は、晩秋に真竹を刈り取り乾燥させて後、
竹を割り、最終的に1ミリほどの細さにまで削るように
手作業で作られます。
手間がかかり高価なためと、和紙専用の竹籤職人が
激減し流通量そのものが乏しいため無駄にはできません。

しかし節のない部分のみを籤として使うので、
籤は長さ40センチほど。簀の横はばは、その数倍は
ありますがら、最低でも3,4箇所は籤を接ぐ必要があります。
できるだけ長いまま使ったほうが経済的なのですが、
桟との兼ね合いを見て、籤を切って接ぎの良い
位置で接ぎます。
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(写真:桟の部分と糸目が重なるとぶつかる糸が切れやすくなるので、これらを避けて配置する)



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by ak-shio | 2007-12-27 17:20 | いろは人訪記

簀を編む人 -  小畑文子さん (その3)

いろは人訪記 簀を編む人は、12月28日から日を遡ってシリーズで表示しています。



 簀を編む

簀は、和紙を漉く際の手前側から編み始め、
最終的な大きさに近づいたら1寸ほど編み残し、
奥側の親骨(別称へり木)と繋げるよう編みます。
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(写真:編み始めは親骨がついていない状態のまま)

残りの寸法は、桁に収まるよう調整しながら籤の段を足し、
簀の高さが決まったら、手前の親骨と繋ぎ合わせます。
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(写真:時おり糸目の位置などが設計どおりか確認しながら)


水落のスピードが、簀の目の具合によって異なるため、
厚い紙用の簀には太い糸、半紙など薄い紙用の
簀は細い糸を使い分けます。

使う糸は、生糸もしくはナイロン糸ですが、
現在は流通の安定さと丈夫さからナイロン糸が
主に選ばれています。ただ、水にぬれると程よく
糸が締まり、簀の間が狭くなる性質を持つ
絹製の生糸にこだわる漉き手もいるようです。
ただ簀専用の特殊な番手の生糸の生産自体が滞っている
状態では、入手困難とのお話でした。
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by ak-shio | 2007-12-26 10:40 | いろは人訪記

簀を編む人 -  小畑文子さん (その4)

いろは人訪記 簀を編む人は、12月28日から日を遡ってシリーズで表示しています。



 工房での一日

この日は小畑さん、織り機の前に静かに座ると、
修復するように簀の編み返しをしていました。
編み糸も長年使っていると痛み切れやすくなります。
また、水が浸入して小口の痛んだ籤は新しいものに交換します。
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木製の編み機に錘が動かされ編み機にぶつかるたびリズムカルな、
コト、コト、コト、コト、と軽快な音が工房に響きます。
時おり音がとまると、竹籤を足したり編みの手順を
手直ししたりと、全体のバランスを見ながら、
意識は常に手元に集中しています。

小畑さんは、実家の事務所での仕事のほか
家庭の仕事もこなしながらなので、
専業的に根詰めて簀編みの仕事をすることは
現実として難しいのとのこと。
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また長時間できる作業ではないので、
一日5、6センチ編むのが限度とのお話でした。
そのため数年待ちの注文もあるそうですが、
それでも数十年の節目で眺めれば、
外国製の安価な簀より経済的です。

そのことを使い手も知っているので、たとえ2,3年待ちでも
簀の注文は後を耐えないようです。
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by ak-shio | 2007-12-25 20:30 | いろは人訪記

簀を編む人 -  小畑文子さん (その5)

いろは人訪記 簀を編む人は、12月28日から日を遡ってシリーズで表示しています。


 簀編み いまむかし

昔の人は正座が当たり前だったのですが、
長時間座っているのは苦痛なので、
編み機を土台の上に乗せて、椅子座で作業をできるように
調整しています。

文子さんが簀を編み始めた30年ほど前は、
鹿野町に3件ほど簀を編む家がありました。
簀編みに限らずですが、後継者問題は深刻です。
小畑さんは、娘さんが将来簀編みの仕事を受け継いでくれる
ことを期待しています。
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結婚後、子育てしながら、母親から簀編みを始めた文子さん。
望みの綱ならぬ、希望を簀に編んでいる。
やはり技は伝えていかなければならないと、静かに意気込みつつ、
娘さんと一緒に簀を編む日をとても楽しみに、そして喜びに。

今日も簀を編む音が小畑さんの工房に響いているのでしょうか。



取材協力: 小畑文子さん


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by ak-shio | 2007-12-24 13:40 | いろは人訪記

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